Research Abstract |
本年度は,まず,電気生理学を行う為の実験室における環境整備(純水製造器,酸素・二酸化炭素混合ガスの配管,電磁気シールドケージ等の設置)をおこなった。次に,正立型顕微鏡用に,独自に作成したチャンパーとステージを組み合わせ,2つ神経細胞のからホールセルパッチクランプ法により,同時に膜電位を記録する測定系を構築した。そして,デジタルシグナルプロセッサーを用いて,ダイナミック・クランプ法を行う為のプログラムを作成した。この結果,測定対象の神経細胞とデジタルモデルであるバーチャル細胞との間に,電流刺激や電気的コミュニケーション(ギャップ結合を模擬)が可能となった。また,化学シナプス(AMPA,NMDA,GABA_Aなど)やギャップ結合などの細胞間結合を生理学的知見に基づき数理モデルによって擬似し,細胞体間結合を人工的に構成する実験的方法の開発を行った。この結果,本年度において,in vitroのハイブリッド計測系がほぼ完成した。また,ハイブリッド・システムの数理モデルの精緻化を行い,より現実的な神経細胞のイオンチャネルを模擬した実体モデルを構築することができた。さらに,ラット大脳皮質体性感覚野と一次聴覚野の神経細胞の4種(錐体細胞,介在細胞3種)の電気的特徴を記録した。これらの結果を,国際会議(Annual meeting 2006 of Society of Neuroscience)と国内学会大会(H18年度日本神経科学会大会)で報告すると共に,2つの国際誌に成果論文を投稿することができ,双方とも受理された。
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