2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18650084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 直人 東京大学, 大学院医学系研究科, 特任講師 (90334226)
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Keywords | シナプス前終末 / 神経初代培養 / 発現解析 |
Research Abstract |
中枢神経系における情報処理は、主に神経細胞同士の接点(シナプス)を介して行われる。シナプス伝達の効率は、その送り側(前シナプス)及び受け手(後シナプス)の両者の要因で決定できる。後シナプスに比べ、前シナプスのシナプス伝達を制御する分子メカニズムは研究が立ち後れている。その主たる原因は、シナプス前終末のサイズが非常に小さく(1μm^3以下)、実験が困難であるからと考えられる。この問題を克服するためには、少なくとも数百μm^3以上の大きさのシナプス前終末が見やすい状態で、尚かつ長期にわたって維持できる必要がある。つまり、分散培養条件下で大きなシナプス前終末を形成させることが出来れば、非常に有用な標本となる。これまでに、聴覚系1次中継核であるAVCNを用いて、初代神経分散培養を行った。培養条件を適正化することによって、少なくとも細胞体を取り巻くようなシナプス前終末が形成されることを免疫細胞染色法、FM dyeを用いたシナプス小胞の取り込みの可視化などから確認した。また、同培養条件下においてシナプス伝達が起きていること、またその電気生理学的特性はCalyx-MNTBシナプスに酷似していることを確認した。 巨大なシナプス前終末を形成する遺伝子を明らかにすることを目的として、AVCNと聴覚系2次中継核であるMNTBの発現パターンをGeneChipを用いて比較解析した。EbfやMath2といった特徴的な転写因子がAVCNでは高発現していることが明らかになった。巨大なシナプス前終末(Calyx)を形成する上でこれらの転写因子が重要な役割を担っている可能性が考えられる。 PKAやEPACの配列を元にcAMPの濃度を検出できるタンパク性プローブの開発を行っている。
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