2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18650088
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10219529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 明彦 国立循環器病センター, 室長 (10359276)
芳川 浩男 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90273680)
岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60111043)
稲垣 忍 大阪大学, 医学研究科, 教授 (90151571)
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Keywords | 神経再生 / 成体神経幹細胞 / 脳梗塞 / 免疫不全 / アポトーシス / Fas |
Research Abstract |
我々は免疫不全(SCID)マウスの梗塞巣内からニューロンやミエリン形成オリゴデンドロサイトに高率に分化する神経幹細胞の分離、培養に成功し、免疫不全状態(SCIDの場合はT細胞、B細胞の欠落)が神経再生に大きく影響を与えている結果を得ている。本研究では、細胞培養系と種々の免疫不全動物を用いた生体系の実験により、内因性神経幹細胞の産生、増殖、分化に本質的な役割を果たす免疫調節因子を同定することを目的とした。 本神経幹細胞はSCIDマウスや胸腺欠損マウス(ヌードマウス)の脳梗塞巣からは作成できたが、それぞれのコントロールマウスではほとんどできなかった。従って、T細胞が神経幹細胞産生に関与することが示唆された。 神経幹細胞の生物学的profileを検討すると、本神経幹細胞はNotch1陽性で、MAP2やNeuN、ニューロフィラメント陽性のニューロンに分化し、またGFAP陽性アストロサイトやO4陽性オリゴデンドロサイトにも分化した。このうちニューロン様に分化した細胞はPatch-clampでNa channelの存在が確認され、電気生理学的にも活動電位を有する成熟神経細胞であることが証明された。また、NeurosphereのRNA解析から、この神経幹細胞は多分化能を示すNANOG、増殖能を示すNotch、および神経幹細胞への分化転換のマーカーであるPAX6を発現していた。しかしこれらは同時にFas陽性でリガンド作用を有する抗Fas抗体(Jo2)の存在下でアポトーシスを起こすことが明らかになった。生体内での成体神経幹細胞とFasとの関連性を検討する目的でFas欠損マウス(1prマウス)とFasリガンド欠損マウス(gldマウス)の脳梗塞巣から神経幹細胞作成を試みたところ、gldマウスではneurosphere形成が極めて高率に認められた。従って本神経幹細胞はリンパ球の存在下ではFas-Fasリガンドinteractionの結果、消滅してしまうことが示唆された。
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Research Products
(6 results)