2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18650100
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 雄一 東京大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (40192471)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國友 博文 東京大学, 遺伝子実験施設, 助手 (20302812)
|
Keywords | 線虫 / 化学走性行動 / 行動変異体 / 行動スクリーニング / RNAi / 学習 |
Research Abstract |
線虫C.エレガンスは体長約1mmと小型で神経細胞が少なく、また突然変異体の分離と解析が容易なため、行動を指標としたスクリーニングに有効なモデル生物であると考えられる。本研究はこのスクリーニング系の確立を目的としている。本年度は以下の結果が得られた。 <行動アツセイの確立> 線虫に化学走性を起こさせる化学誘引物質のひとつとして、NaClを用いてアッセイ系の検討を行った。NaClを寒天平板上に格子状にスポットし、線虫を中央からスタートさせる。無処理の線虫はNaClに誘引され、いずれかのスポットに到達する。一方、NaCl存在下、飢餓条件下で一定時間処理を行うと、線虫はNaClのスポットに誘引されなくなる(化学走性学習)。スポットする濃度と拡散させる時間を検討し、無処理の線虫は効率よく誘引され、学習後の線虫は積極的にスポットを避ける条件を決定した。 また、複数の誘引物質に対する行動を比較する系の作成を目指し、匂い物質とNaClを交互にスポットするアッセイも検討した。NaClと匂い物質の濃度のバランスに応じて行動の差が検出できることを確認した。今後行動異常変異体のスクリーニングにも有効であると考えられる。 <RNAi法の検討> 多数の遺伝子について、神経機能への関わりを行動レベルで検討するためにはRNAi法が有望である。しかし、線虫の神経にはRNAiが、効きにくいことが知られているため、RNAi法の検討を行った。RNAiが効きやすいといわれる変異体のうち、rrf-3株を用い、餌として経口的にdsRNAを与えるfeeding RNAi法と、トランスジーンからヘアピンRNAを発現させるhpRNAi法の併用により最も効率よく神経機能の阻害ができることが見出された。 これらの方法は今後実用に用いることが可能と考えられる。
|
Research Products
(5 results)