2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノパターン化表面と振動分光を組合わせた細胞表面の極近傍の情報を得る計測法の構築
Project/Area Number |
18650117
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 貞明 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 特任教授 (20374720)
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Keywords | ナノ材料 / ナノバイオ / 細胞・組織 / トポロジー |
Research Abstract |
組織培養基材表面形状と細胞挙動の相関性の解明 パターン化表面構造と細胞の増殖、分化、機能発現などの細胞挙動との相関性とその機構の解明は組織再生のための細胞培養基材の開発にとって重要な課題である。これまでミクロンサイズの孔が蜂巣状に規則的に並んだ表面形状を持つポリマーフィルム(ハニカムフィルム)が細胞挙動に大きな影響を及ぼすことが見出されている。ハニカムフィルムの規則構造を細胞がどの様に認識し、それが細胞機能にどの様に影響を及ぼすかを明らかにすることを目的として、本年度は、まずAFMと共焦点レーザ顕微鏡を用いて、細胞の接着に関わるタンパク質を除いたハニカムフィルム表面での血管内皮細胞の培養初期の伸展挙動を調べた。細孔径6及び16μmのフィルム上ではハニカムフィルムの細孔の位置に、その細孔と同じサイズの孔が開いた細胞が観察された。この特異的細胞形態は本研究で初めて見出されものである。この形態を持つ細胞は培養時間が長くなるに従って見られなくなった。一方、細孔径3μmのフィルム上の細胞形態は平膜上と同じく、孔の開いた細胞は見られなかった。この特異的細胞形態発現のハニカム細孔径依存性と培養時間依存性から、血管内皮細胞はフィルムの細孔サイズを識別し、孔の形成と消滅を含むダイナミックな形態変化を伴って伸展しているものと推察した。細孔径が6μm及び16μmのハニカムフィルム上では、細胞は仮足によってフィルムの幹表面を探りながら伸展を開始し、途中、仮足の会合によって孔形状を形成しながら伸展を続け、十分時間が経った時点で細胞質の移動を起こして形成した孔を埋めているものと考えられる。今後.本申請書で提案している分光法を用いて各形態において細胞から放出される物質の同定及び定量を行うことによって、組織培養基材表面が細胞挙動に及ぼす影響の分子論的解明が着たいされる。本研究成果は材料の規則表面構造による細胞形態・機能の制御機構の理解にとって基本的に重要なものと位置づけられる。
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Research Products
(4 results)