2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体肺構造を組織工学的に模擬したハイブリッド人工肺に関する研究
Project/Area Number |
18650127
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
舟久保 昭夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00307670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢口 俊之 東京電機大学, 理工学部, 助手 (70385483)
住倉 博仁 東京電機大学, フロンティア共同研究センター, 助手 (20433998)
福長 一義 杏林大学, 保健学部, 助手 (30366405)
福井 康裕 東京電機大学, 理工学部, 教授 (60112877)
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Keywords | 人工肺 / ハイブリッド / 人工臓器 / Scaffold / 細胞 |
Research Abstract |
生体組織の培養構築には、細胞が接着して分化・増殖するためのScaffold(細胞の足場)が必要である。我々は、「接触走性」と呼ばれる細胞の本能的な性質の利用を目指したScaffoldの開発を行ってきた。このScaffoldを円筒形に成形し、ラット腹部大動脈へ埋め込んだin vivo実験において、良好な組織化と同時にScaffoldの外壁から内腔面までを貫通する新生血管が発達する現象を確認した。このScaffoldを人工肺の血液接触面に構築し、内皮細胞による被覆とその主たる機能である抗血栓性を発揮させることが可能となれば、長期的な抗血栓性の劇的な向上が考えられる。対象とする人工肺内部における特殊な環境、用いる細胞を考慮し、それに最適化したScaffoldの最適な幾何学的構造を検討、設計し、実際に試作することを目的としている。 今年度は、エレクトロスピニング法を用いて繊維性のScaffoldを作製し、作製条件と繊維形成の関係を検討および、水銀圧入法により微細繊維を備えたScaffoldの構造の詳細な検討を行った。またin-vitroにおけるScaffold上での細胞の増殖形態、Scaffoldと細胞の結合状況を観察することで組織工学的評価を行った。 Scaffoldを構成する繊維径は高分子溶液流量および混合溶媒の二つの要素を調節することにより制御可能となった。作製したScaffoldの細孔径は細胞が繊維内部に侵入するための十分な大きさを備えていた。Scaffold表面上において良好な細胞増殖反応が確認された。以上の知見から、マイクロオーダーの繊維径を制御し、用いる細胞に最適な構造設計をすることにより、効果的に細胞を増殖させうることが示唆された。
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