2006 Fiscal Year Annual Research Report
構造転移によって劇的に機能発現する刺激応答性ベシクル状ナノ組織体の創製
Project/Area Number |
18650133
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90215187)
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Keywords | ナノ医療 / ナノカプセル / ドラッグデリバリー |
Research Abstract |
本研究では、刺激に応答した分子形状変化というミクロな変化によって、その集合体構造の転移というマクロな変化を誘起し、劇的な機能発現に導くという、新しい発想に基づいて、生理活性分子を標的部位に送り届ける高性能キャリアシステムを構築することを目的とする。本年度は、(1)pHに依存して極性基の大きさを変化させるデンドロン脂質の合成とそのナノ組織体の構造に及ぼすpHの効果の検討、および(2)温度に応答して極性基の大きさを変化させるデンドロン脂質の合成とそのナノ組織体の構造に及ぼす温度の効果の検討、を行った。(1)については、第1世代のポリアミドアミンデンドロンを極性基とし、2本のオクタデシルを疎水基とするデンドロン脂質を合成し、その集合体形成に及ぼすpHおよび温度の効果について検討した。その結果、このデンドロン脂質は、pH6以下においては粒径が10〜20ナノメートルのミセル様集合体を形成したが、pH7.6-10においては粒径が200-400nm程度のべシクル様集合体を形成することが電子顕微鏡観察からわかった。また、ベシクル様集合体の安定性は温度に依存し、その膜が流動状態の場合は安定であるが、ゲル状態になると不安定化し、著しく凝集融合することがわかった。一方、(2)について、末端にイソブチルアミド基を結合した第2世代および第3世代のポリアミドアミンデンドロンを極性基とするデンドロン脂質を合成し、その会合体の形態を電子顕微鏡で観察した。その結果、これらのデンドロン脂質は、中性〜弱アルカリ性領域においてベシクル様集合体を形成することがわかった。また、これらの集合体は、特定の温度において凝集し、さらに大きなべシクルや繊維状集合体に転移することが明らかになった。
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