2007 Fiscal Year Annual Research Report
構造転移によって劇的に機能発現する刺激応答性ベシクル状ナノ組織体の創製
Project/Area Number |
18650133
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 健司 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (90215187)
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Keywords | ナノ医療 / ナノカプセル / ドラッグデリバリー |
Research Abstract |
本研究では、刺激に応答した分子形状変化というミクロな変化によって、その集合体構造の転移というマクロな変化を誘起し、劇的な機能発現に導く高性能キャリアシステムを構築することを目的とする。すでにイソブチルアミド基を末端基とするデンドロン脂質が温度応答するナノベシクルを形成することを示している。本年度は、ナノベシクルの特性解析とその制御についてさらに研究を進めた。まず、ナノベシクルの温度応答性に及ぼすデンドロン脂質の末端アルキルアミド基の効果について調べた。ナノベシクルが応答する温度領域はアルキルアミド基の構造に依存し、直鎖状や分岐状に比べて環状のアルキルアミド基をもつデンドロン脂質のナノベシクルは顕著に低い温度領域で転移することがわかった。いずれのデンドロン脂質ナノベシクルについても転移温度はpHの低下とともに上昇する傾向を示した。極性基のプロトン化がその水和度を上昇させ、転移温度の上昇につながったものと考えられる。一方、アセトアミド基を有するデンドロン脂質は転移を示さなかったことから、アルキルアミド基の疎水性度もナノベシクルの温度応答性に影響することがわかった。また、イソブチルアミド基をもつデンドロン脂質とアセトアミド基を有するデンドロン脂質の混合脂質からなるナノベシクルを調製し、その温度応答性を調べた。その結果、ナノベシクル中のアセトアミド基型デンドロン脂質の含有率とともにその転移温度は上昇した。このことは、脂質組成を調節することによって、ナノベシクルの転移温度を自在に制御できることを示している。このように、本研究によって、温度応答性を自在に制御でき、しかも劇的に構造転移するナノベシクルの開発に成功した。
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