2006 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロール導入ポリ乳酸による液晶ドメインを有する生分解性足場の構築と組織再生
Project/Area Number |
18650138
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大内 辰郎 関西大学, 工学部, 教授 (60067650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助教授 (10213886)
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Keywords | ポリ-DL-乳酸 / ポリデプシペプチド / コレステロール / 生分解性材料 / 自己組織化 / 再生医療 / 力学物性 / ソフトバイオマテリアル |
Research Abstract |
近年,損傷を受けた組織や臓器の再生を目的とした組織工学が注目され,体内での細胞増殖を支持し,組織再生に伴い分解消失する優れた生分解性材料の開発が切望されている。代表的な生分解性高分子であるポリ-L-乳酸(PLLA)から成型した材料は良好な細胞接着性と増殖性を示し,組織工学用足場材料としての応用が期待されるが,高結晶性に起因して硬くて脆いという材料特性を示すためにその適応部位は硬組織に限られる。それ由に,軟組織に適合し優れた組織再生の足場となるポリ乳酸系材料の開発が求められる。柔軟性や伸縮性などの力学物性を示す組織再生用足場材料の開発を目的として,平成18年度においては,デプシペプチドとDL-ラクチドから成るランダム共重合体(poly[{Glc-Asp}-r-DL-LA])にコレステロール基を導入したコンジュゲート(poly[{Glc-Asp)-r-DL-LA]-cholesterol)を新たに合成し,クロロホルム溶液からキャスト法によりフィルムを調製し,ポリ(DL乳酸)フィルムをコントロールとして,その結晶構造,コレステロール基の自己組織化挙動,力学物性を評価した。DSC測定を行なった結果,ポリ(DL-乳酸)フィルムに比べてコンジュゲートフィルムのTgは低く,さらに主鎖は結晶性を示さないことを確認した。また偏光顕微鏡観察を行なった結果,複屈折パターンが観察され,さらにクロスニコル回転に伴う陰影変化により,コレステロール基同士の自己組織化による物理架橋ドメインを有することが分かった。また引っ張り試験を行って応力-歪み曲線を求めたところ,ポリ(DL-乳酸)フィルムに比べてコンジュゲートフィルムは柔軟で,弾性変形領域が比較的広いという知見を得た。今回合成したコンジュゲートフィルムは柔軟性と粘り強さを併せ持ち,ソフトバイオマテリアルとして興味深い素材であると言うことができる。
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Research Products
(4 results)