2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18650176
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
奥田 援史 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (10233454)
|
Keywords | 運動意欲 / 行動遺伝学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、運動意欲の個人差に対する遺伝と環境の影響を推定することである。調査対象者は、小学5年〜中学3年の双生児160組である。双生児の卵性診断は大木ら(1991)が作成した母親用質問紙を用いた(精度95%)。双生児の内訳は、一卵性双生児(MZ)95組、二卵性双生児65組である。運動意欲の調査は猪俣(1987)の標準化された質問紙を用いた。 運動意欲の下位尺度ごとに級内相関係数を算出した結果、MZで0.47〜0.67、DZで0.09〜0.37という値を得た。ファルコナーの公式を利用して相関係数から推定すると、運動意欲の個人差に対する遺伝要因の影響が中程度であり、また非共有環境要因の影響も中程度であると理解できる。一方、運動意欲の個人差に共有環境要因がほとんど影響していないことも示唆できる。したがって、共有環境とは家族メンバーを類似させる要因、非共有環境要因は家族メンバーを異ならせる要因と定義されることから、同じ家庭に育つ子どもの運動意欲を異ならせる要因の探索が必要となる。この点を次年度の研究課題として検討する。 ところで、本研究で用いた運動意欲の質問紙は信頼性及び妥当性が検討され作成されているが、検証的因子分析が施されていない。そこで、この双生児データを用いて検証的因子分析をしたが、適合度において問題があることがわかった。その理由としてデータ数が少ないことが考えられる。したがって、さらにデータを収集し、運動意欲データについて検証的因子分析を行い、そして共分散構造分析の手法による遺伝と環境の相対的影響度の推定を行う必要があると考える。
|