2006 Fiscal Year Annual Research Report
一流選手の競技力向上を目指した特殊環境下におけるトレーニングの開発
Project/Area Number |
18650179
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
田口 信教 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (10171597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 孝夫 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (60274867)
荻田 太 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (50224134)
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Keywords | 低圧低酸素環境 / 高強度トレーニング / 一流選手 / 競泳 / 最大酸素摂取量 / 最大酸素借 / 代謝特性 |
Research Abstract |
【目的】本研究の目的は、異なる低圧環境下でのエネルギー代謝特性を明らかにし、エネルギー供給能力の改善に対して有効な特殊環境条件を明らかにすることであった。 【方法】被検者は、年齢21±1歳、全国大会出場を果たしているよく鍛錬された大学水泳選手6名であった。運動はすべてクロール泳とした。常圧環境、および海抜800m、1600m、2400mをシミュレートした低圧環境下において、6分間の最大下一定流速泳中の酸素摂取量および酸素借を、異なる流速で数回測定した。また、別日に負荷漸増法を用い、各環境下における最大酸素摂取量を、さらに2-3分で疲労困憊に至るクロール泳中の酸素摂取量および酸素借を30秒ごとに定量した。 【結果及び考察】同じ最大下強度運動中の酸素摂取量および酸素借は、各環境間で有意な差は認められなかった。最大酸素摂取量は、高度の上昇にともない低い値を示し、800m、1600m、2400mにおける低下率は、それぞれ4%、12%、16%であった。2-3分で疲労困憊に至る超最大運動中の30秒毎の酸素摂取量の変化を比較すると、運動後半の酸素摂取量は気圧が低いほど有意に低い値を示した。一方、酸素借の経時的変化をみると、低圧の影響で運動強度が低くなったにも関わらず、環境間に差は認められなかった。以上の結果より、高地トレーニングを行う場合、有酸素性エネルギー供給系の改善を狙うならば、トレーニング強度、最大酸素摂取量をできるだけ低下させず、かつ赤血球等の増加を導く低圧環境の受動的効果が得られる1600-2000m程度の高度が適していることが示唆された。一方、無酸素性エネルギー供給系に対しては、低圧の影響で強度が低くなっても、平地と同様の供給動態が観察されることから、2000m以上の高度でも十分改善可能であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)