2007 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化改善に対する運動効果の個人差を規定する新規遺伝子の探索
Project/Area Number |
18650186
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 清司 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30282346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 譜也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (70242021)
家光 素行 奈良産業大学, 教育学術研究センター, 講師 (90375460)
宮内 卓 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60222329)
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Keywords | エストロゲン / 動脈スティフネス / エストロゲン受容体遺伝子多型 / 身体活動水準 / 運動効果 / 中高齢者 |
Research Abstract |
エストロゲンは血管内皮機能の改善や血管平滑筋の増殖抑制などを介して、加齢による動脈硬化(動脈スティフネス)の進行を抑制する。これらのエストロゲンの作用はエストロゲン受容体を介して発揮される。昨年度は、エストロゲン受容体遺伝子多型と動脈スティフネスの関係を検討し、エストロゲン受容体α遺伝子多型は閉経後女性の動脈スティフネスに影響する可能性を示唆した。今年度は、身体活動水準と動脈スティフネスとの関係にエストロゲン受容体α遺伝子多型が及ぼす影響について検討した。閉経後女性195名(62±6歳)を対象とした。エストロゲン受容体α遺伝子多型は-401T/CをTaqMan-PCR法にて解析した。動脈スティフネスは、上腕-足首間の脈波伝播速度(baPWV)にて評価した。加速度付き歩数計により、1日あたりの運動量を算出し、その中央値を基準にして、活動群と非活動群に分けて、解析を行った。年齢と平均血圧を共変量として、baPWVを比較すると、活動群のbaPWVは非活動群よりも低値であった。また、TC+CC型の遺伝子型を有する者のbaPWVは、TT型の遺伝子型を有する者よりも低値であった。すなわち、活動群で動脈スティフネスが低く、またTC+CC型の遺伝子型の者は動脈スティフネスが低いことが示された。身体活動水準とエストロゲン受容体α遺伝子多型により、4群(TT-活動群、TT-非活動群、TC+CC-活動群、TC+CC-非活動群)に分けて検討すると、TC+CC-活動群のbaPWVは、他の3群より低値(動脈スティフネスが低い)であった。他の3群間には差はなかった。すなわち、TC+CC型は動脈スティフネスに対する運動効果が期待できるが、TT型は運動効果が得られ難い可能性が示唆された。これらの結果から、エストロゲン受容体α遺伝子多型は、身体活動水準と動脈スティフネスの関係に影響することが示された。
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