2006 Fiscal Year Annual Research Report
左心室拡張時間と心筋負担を基準とする簡易運動処方システムの開発
Project/Area Number |
18650202
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 宏暁 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (00078544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清永 明 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70177955)
|
Keywords | 第一心音振幅 / 左室収縮時間 / 左室拡張時間 / カテコールアミン / 交感神経活動 / 乳酸閾値 / 漸増運動負荷試験 / 運動処方 |
Research Abstract |
本年度は、心音モニタリングの運動処方上の測定意義を明らかにする為に、運動負荷に伴う第一心音振幅、および第一心音と第二心音より評価した左心室収縮・拡張時間の変化について検討を行うと共に、運動中の心音サンプリングに関する基礎研究を行った。その結果、運動負荷に伴う心収縮力の増大は、交感神経活動の亢進に基定され、運動負荷試験中に連続して第一心音振幅ならびに左室収縮・拡張時間をモニタリングすることは、運動の心負担ならびに有酸素性作業能を評価する有効な指標となり得る可能性を得た。また、心音(特に振幅)が呼吸などの胸郭の動きに影響されるという測定法上の制約への対処として、心音マイクを胸骨柄付近に固定する様に工夫することで比較的安定した計測が可能となった。 具体的には、男性9名を対象に自転車エルゴメーターを用いた間欠式多段階漸増運動負荷試験を実施し、第一心音振幅の増大は、血中カテコールアミンの増加と関連することを認めた(r=0.715〜0.963,p<0.01)。加えて、左室収縮時間は、カテコールアミン閾値を境に急激に短縮することが明らかとなった(カテコールアミン閾値前後の心周期と左室収縮時間の回帰式の傾き:0.19±0.04vs.0.42±0.05,p<0.001)。さらに、高齢者8名と若年者12名を対象にしたRamp式漸増運動負荷試験においても各心音パラメータの判定が可能であり、第一心音振幅急増点と血中乳酸閾値の間に有意な相関関係を認めた(r=0.779,p<0.01)。しかし、興味深いこととして、必ずしも乳酸閾値と近似しないケースが確認され、その要因を含めて追検討する必要が考えられた。 現在は、より簡易かつ正確に波形データを解析するアルゴリズムの開発にも着手している。また、現場での心音運動処方の有効性と実用性を明らかにする研究の準備を開始したところである。
|