2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者施設における衣生活の質の向上に寄与する人材養成をめざした基礎的研究
Project/Area Number |
18650210
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
泉 加代子 Kyoto Women's University, 家政学部, 教授 (50105194)
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Keywords | 高齢者 / ファッション・セラピー / 老人精神機能評価尺度 / 生活能力評価 / グループホーム / 特別養護老人ホーム / 認知症 / 衣生活 |
Research Abstract |
これまでに高齢者介護施設入居者を対象としてファッション・セラピーを実施しているが、その結果、高い確率で精神状態や日常生活に改善の効果がみられている。本年度は、ファッション・セラピーの効果の持続性に施設職員による日常的な着装アドバイスが及ぼす影響を検計することを最終目的として、職員が日常的に着装アドバイスを行っているグループホームと行っていない特別養護老人ホームで6ケ月間ファッション・セラピーを実施し、2施設の対象者の心身の健康状態の変化を比較検討した。 対象者は、グループホーム入居者3名と特別養護老人ホーム入居者4名である。グループホームのA氏(90歳女性、要介護度2)、B氏(86歳女性、要介護度3)、C氏(73歳女性、要介護度2)は観察法では効果がみられたが、職員による老人精神機能評価尺度と生活能力評価の結果は現状維持であった。特別養護老人ホームのD氏(89歳女性、要介護度3)とG氏(74歳男性、要介護度2)は、老人精神機能評価尺度と生活能力評価の両方とも合計点が改善した。E氏(83歳女性、要介護度4)は生活能力評価のみ、F氏(76歳女性、要介護度3)は老人精神機能評価尺度のみ合計点が改善した。項目別では、老人精神機能評価尺度の「関心・意欲・交流」、生活能力評価の「認知症等」・「行動範囲」の評価が改善した対象者が多く、観察法からもこれらの項目に対する効果が認められた。1年後の追跡調査の結果を見ないと結論づけられないが、日常的に職員が着装アドバイスを行っていない施設の方が筆者のファッション・セラピーの効果が高かったことは、職員の日常的な着装アドバイスが高齢者の生活能力や精神機能の衰退を遅らせることができることを示唆していると考えられる。
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