2007 Fiscal Year Annual Research Report
言語・感情・運動反応を持つロボットとの言語習得:対話相手に理解される事は必要か
Project/Area Number |
18650246
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 徹 Nagoya University, 大学院・国際開発研究科, 教授 (90177890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 ムフタル 名古屋産業大学, 環境情報ビジネス学部, 准教授 (20283517)
後藤 明史 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (50225645)
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Keywords | 教育系心理学 / 言語習得 / マルティメディア / 教育工学 / ロボット |
Research Abstract |
本研究は、根本的には、言語習得の一環として、自らのアウトプットが理解されることの意義の解明を目指している。その、一ステップとして、本年度は、コミュニケーションの対象がロボットである場合、対象が人間である場合と比較して、どのような違いがあるかを、視線行動における対象への注視点を中心に、分析を試みた。 具体的には、視点記録用のモニター上に、対話の相手として、ロボットが提示される場合と、人間が出現する場合の2種類を用意した。使用言語は日本語、会話の内容は、ロボットの発話を、文字化したものを、対象が人間のときも、共通に使用した。また、実験参加者は、年齢(学部学生)、性別(女性)、専攻分野(人文社会系)等で、可能な限り統制した。そのうえで、注視点の領域を、対象の目、口、それ以外の顔、その他に大別して、各領域の集中度を測定した。あわせて、ロボットに関する実験協力者の主観的認識も調査した。 当初の予想では、対象の違いにより、各領域への集中度に差がでること、および、日本語でも、目(およびその周辺)は、相対的に最も、注視されるものと想定していた。しかし、結果は、ロボットに対する実験参加者間の擬人化の度合いが大きく影響した。即ち、ロボットに対する擬人化の度合いが強い場合は、対象が人間であるときと、注視点の領域については、あまり差がみられないのに対し、擬人化が弱い場合は、ロボットに対する視線行動は、対象が人間である場合とは、異なる様相を呈した。このことから、今後は、擬人化の程度も統制するべき変数として、一層、配慮する必要があることが示唆された。また、領域間においては、予想に反して、総じて、目の領域よりも、口の領域の方が、対人・対ロボットとも、相対的集中度が高かった。このことは音声認識におけるマガーク効果の存在を支持するものと解釈される。
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