2006 Fiscal Year Annual Research Report
木材細胞の内こう強化に重点を置いた出土木材の保存処理
Project/Area Number |
18650261
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
栗本 康司 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 淮教授 (60279510)
|
Keywords | 保存科学 / 出土木材 / 考古学 / セルロース誘導体 |
Research Abstract |
遺跡の発掘調査にともない出土する木製品や自然木は通常、出土木材と呼ばれている。長い年月にわたり土中に埋没している間に、木材自身は著しく腐朽している。そのため腐朽して流出した木材細胞壁成分は水と入れ替わり、非常に高い含水率状態で発見される場合がほとんどである。こうした出土木材をひとたび乾燥させてしまえば、脆弱な細胞壁は水分蒸発にともなう乾燥応力に耐えられずに変形・収縮を起こし、再び元の形状に戻すことはできない。 本研究の目的は、凍結乾燥後は繊維状の多孔質体となるセルロース誘導体を用いて、細胞内こうを支えることにより変形・収縮を抑制し、軽くて丈夫な出土木材を作り出すことである。本年度は以下の点について検討を行った。 1.セルロース誘導体の選定 水溶性あるいは有機溶剤可溶性のセルロース誘導体の中から、保存処理実験に使用可能なものを選定した。また場合によってはセルロース誘導体の分子量を調整した。 2.出土木材の処理 水溶性あるいは有機溶剤可溶性のセルロース誘導体を針葉樹(スギ)および広葉樹(クリ)の出土木材へ含浸するとともに、処理材を凍結乾燥した。
|