2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18650263
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
青木 睦 国文学研究資料館, アーカイブズ研究系, 助教授 (00260000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 哲則 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40262224)
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Keywords | アーカイプス / 真空凍結乾燥 / マイクロ波 / 災害 / 保存科学 |
Research Abstract |
本研究は、被災アーカイブズの「真空凍結乾燥法」に替わる「最速乾燥システム」としての減圧・マイクロ波・遠赤外線を同時にコントロールする被災アーカイブズの救助方法の開発と評価について研究し、乾燥処置時間短縮方法の実現化を目的とする。これまで利用されてきた「真空凍結乾燥法」の特徴は、アーカイブズの材質である紙を冷凍によって物質内の水分を固定するため文字等のにじみを防げること、紙の癒着が起きず史料の変形を最小限に抑えられること、菌虫害が防げること、一度に大量の処置が行えること等が挙げられる。更に、自然乾燥法に比べると、救助・修復にかかる時間が短縮され、人手も少なくて済むためコスト面についても利点がある。 しかし、被災後、緊急事態での冷凍庫の長期間確保と真空凍結乾燥機による処置場所確保が大変困難であるのが現状である。「最速乾燥システム」における減圧・マイクロ波・遠赤外線の機能と3つのエネルギー要素が有機的に結びついて乾燥する被災史料救助方法は、最速の乾燥が可能となる。この乾燥方法による被災アーカイブズの適用例はこれまでになく、その速乾性と安全性が確実に検証し得れば、被災アーカイブズ復元に関わる時間的経費節約さらに効率化が期待される。 平成18年度は、真空凍結乾燥機と「最速乾燥システム」の比較解析、乾燥システム検証には極めて先進的かつ実用的な技術が不可欠であり、比較指標となる繊維組球・繊維細胞状態や添加物の変質のデータを採取するため、測定機器として、下記のものを用いた。 ○ハイパードライ(最速乾燥システム)、[日本バイオコン株式会社、開発用ラボ機HD-LAB]専門的知識提供を日本バイオコン株式会社に得て、乾燥テストの実施準備を行った。 ○既存の簡易型真空凍結乾燥機の改良を実施する予定であったが、旧型の改良費用で新型の購入が可能であったため、新規機器の性能テストの準備を実施した。 これらの分析によって、被災アーカイブズ状態→乾燥後の繊維を観察して、繊維組成・繊維細胞状態や添加物の変質について明らかにし、「最速乾燥システム」の被災アーカイブズ復元に関わる時間的経費節約さらに効率化がもたらされる特徴を次年度検証するための環境整備を行った。
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