2006 Fiscal Year Annual Research Report
窒素とアルゴンを用いた高確度な海水年齢決定法の開発に関する研究
Project/Area Number |
18651002
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (90333640)
|
Keywords | 海水年齢 / 窒素 / アルゴン / 酸素 |
Research Abstract |
平成18年度は、窒素、アルゴン、酸素による飽和度および気泡貫入量の原理を、海水に適用するために、0.1%以下での高精度に海水中の窒素・アルゴン・酸素濃度を同時測定できる機器開発を実施し、開発に成功した。 その測定精度は、窒素0.04%、アルゴン0.05%、酸素0.02%で、従来の方法よりも一桁下であり、また、測定時間も10分で従来の方法よりも十分に短い。このため、高精度で大量に窒素、アルゴン、酸素の測定を行える分析機器の準備が出来た。 そこで、これらの測定方法を用いて、すでにサンプリング済の北太平洋高緯度海域における海水試料を鉛直的に測定した。さらに、この結果を、本研究が提案する気泡貫入を考慮した以下の式に導入することで、未知数A項(真の飽和度)とB項(気泡貫入量)を求めた。 N_<2(obs)>=A_<N2>・N_<2(s)>+0.780・B (2) Ar_<(obs)>=A_<N2>・(k_<Ar>/k_<N2>)・Ar_<(s)>+0.009・B (3) A_<N2>:窒素の飽和度(%)、N_<2(s)>とAr_<(s)>:現場の水温・塩分・大気組成比から求められるN_2とArのそれぞれの飽和濃度、k_<N2>、k_<Ar>:窒素とアルゴンの気体交換速度、B:気泡が直接溶け込んだ量、0.789及び0.009:N_2とArのそれぞれの大気混合比。 その結果、気泡貫入量は空気量にして、12-43μmol/kgの範囲内で常に海水中にあることを初めて明らかにした。
|