2006 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力環境が細菌バイオフィルム形成と形質転換に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
18651013
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 哲圭 岡山大学, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 助手 (20223258)
吉村 英尚 東邦大学, 理学部, 講師 (50385944)
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Keywords | 緑膿菌 / スワーミング活性 / シアノバクテリア / クリノスタット / DNAミクロアレイ |
Research Abstract |
本研究は、微小重力環境が細菌のバイオフィルム形成や遺伝子発現応答に及ぼす影響を明らかにしようとするものであり、地上の実験室で模擬微小重力を作る装置として、現有備品の三次元クリノスタットを用いて研究を行った。本年度の研究項目は、寒天表面での細菌増殖に及ぼす影響と、光合成細菌における暗条件での遺伝子発現応答への影響である。前者では、緑膿Pseudomonas aeruginosa PAO1株と、後者ではシアノバクテリアAnabena sp.PCC7120株用いた。 1)緑膿菌P.aeruginosa PAO1株の寒天表面増殖は寒天濃度に依存し、0,6〜0.8(w/v)の範囲のとき、クリノスタット培養条件で増殖促進が観察された。特に、0.6%の寒天濃度条件では、48時間培養後の増殖面積は、通常重力条件の場合と比較して、約1.6倍大きかった。また、菌体量でも、28時間培養のときクリノスタット培養条件で1.4〜1.7倍高かった。P.aeruginosa PAO1株が寒天表面を広がる活性はスワーミング活性として知られており、これらの結果から、微小重力条件はP.aeruginosa PAO1株のスワーミング活性を促進することが推察された。 2)シアノバクテリアAnabena sp.PCC7120株をクリノスタット培養条件においた場合、10分間では通常重力条件と比較して有意に変化する遺伝子発現は認められなかった。しかし、30分以降になると、発現誘導と発現抑制する遺伝子数が増え、なかでも転写・情報伝達系に区分される遺伝子発現が最も変動した。さらに、3時間までクリノスタット培養条件を継続したが、連続的に増加もしくは抑制される遺伝子は検出されなかった。以上の結果より、Anabena sp.PCC7120株の場合、3時間までのクリノスタット培養条件では、生理学的な変化を引き起こすほどの遺伝子発現変動には至らないことが推察された。
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Research Products
(1 results)