2006 Fiscal Year Annual Research Report
仮想市場法の信頼性向上手法の提案と妥当性の検証-温情効果の扱いとスコープ反応性
Project/Area Number |
18651019
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
肥田野 登 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 教授 (90111658)
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Keywords | CVM / 表明選好法 / 経済評価 / スコープテスト / 温情効果 |
Research Abstract |
本年度は、温情効果相当分を除く支払意思額WTP_<cold>の計測方法を検討した。このために、Takeshita(2005)のモデルを拡張した。もともとのモデルでは、一般的なCVM(仮想市場法)研究と同様に、補償的余剰を用いてWTP関数が定式化されており、その上で、温情効果の影響を表現可能であった。本研究では、さらに、Takeshitaが考慮していない利他的効用に着目し、モデルの拡張を行った。 まず、CVMにおいて生じる利他的効用の表現方法を開発した。このために、経済評価論に加え、実験経済学や心理学の既存研究を整理し、利他的効用の程度を決める変数の整理を行った。これにより、従来、経済評価論で用いられていたものに比べ、より精緻な変数の候補を得ることができた。 つづいて、Takeshitaのフレームワークに利他的効用を導入した。このために、いくつかのモデル形状を考え、利点欠点を比較した。この結果、Takeshitaのモデルでは、WTPの総額と温情効果相当分の支払意思額であるWTP_<warm>が2変量正規分布にしたがうとしている点を、本研究では、利他的効用相当分を含め、3変量正規分布にしたがうとみなすこととした。なお、このモデルを用いてパラメータの最尤推定を行う場合、正規分布の積分に関して数値的な解法が必要であり、その精度が問題となる。そこで、Halton sequence法を中心に、精度の高い尤度関数シミュレーション技法について検討を行った。
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