2006 Fiscal Year Annual Research Report
尿タンパク質のプロテオーム解析による簡便な被ばく者障害リスク評価法の開発
Project/Area Number |
18651024
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (10019672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 秀彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (30379846)
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Keywords | プロテオーム解析 / 二次元電気泳動 / 放射線被ぼく / γ線 / X線 / マウス胸腺 / 線量推定 / LyGDI |
Research Abstract |
本研究では、放射線応答性のタンパク質の量的、質的変化を指標として、高感度で且つ簡便な放射線被ばく線量推定法を開発することを目的.としている。2年間の研究の初年度として、二次元電気泳動と質量分析装置を用いたプロテオーム解析手法の確立に重点をおくとともに、実際に種々の培養細胞やマウスを用いて放射線応答性タンパク質の出現の有無を調べた。 ます、γ線照射した血液・リンパ球系細胞を用いて4.0〜7.0、4.0〜5.0、5.0〜6.0及び5.5〜6.7の4種の一次元電気泳動pHレシジについて、二次元泳動後のタンパク質スポットパターンを比較検討した。その結果、PH 4.0〜7.0では狭い範囲にメボシトが集中し、γ線照射と未照射サンプルとの間での比較が困難であったが、その以外のレンジではスポットの濃淡及び移動が容易に検出できることが分かった。実際、pH 5.5〜6.7の一次元ストリップを持ちいて得たメポットの質量分析結果から、低線量放射線でも明らかな変化を示すたんぱく質として、Rho-GDP-dissociation inhibitor(LyGDI)が同定できた。このLyGDIの分子量は21kDaであり、これは以前に放射線照射したマウス胸腺リンパ腫由来細胞を用いて検出された分断化LyGDI(ΔN(1-18))と同じものであることが示唆された。そこで次に、LyGDIの分断化が放射線被ばく障害の指標となるかどうか調ぺるため、C57BL/6マウスにX線を0.1、0.5、1.0、5.0及び12.0Gy照射し、照射後6時間目に各種臓器を摘出しC末端部のLyGDI認識抗体を用いて分断化LyGDI(ΔN(1-18))の出現量を調ぺた。その結果、マウス胸腺からのタンパク質抽出液を用いた場合、0.1Gy以上の照射線量において、線量依存的にΔN(1-18)LyGDIが検出できることが分かった。これらの結果は、タンパク質の量的、質的変化を指標として、個体レベルで放射線被ばく線量の推定が可能であることを示唆する。
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