2007 Fiscal Year Annual Research Report
海棲哺乳類の幹細胞分化に対する新規汚染物質ペルフルオロオクタンスルホン酸の影響
Project/Area Number |
18651026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
星野 広志 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 客員研究員 (00419954)
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Keywords | 体性幹細胞 / 海棲哺乳類 / 骨分化 |
Research Abstract |
1)アザラシ脂肪組織由来の体性幹細胞をもとにした培養細胞系の確立 ゴマフアザラシ脂肪組織由来の間質間葉系細胞の不死化を目的とし、ヒトテロメラーゼ遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターを用いて細胞にヒトテロメラーゼ遺伝子を強制発現させたところ、ベクターを感染させていない細胞では30PDLsで細胞増殖の停止が見られたが、感染細胞では60PDLsでも増殖が停止しなかった。しかし、60PDLsまで継代した細胞では脂肪細胞への分化能が大幅に低下した。 また、アザラシ脂肪組織由来の間質間葉系細胞の多分化能について検討するため、骨分化誘導実験を行ったところ、骨芽細胞の初期マーカーであるアルカリホスファターゼ活性が高い細胞が生じた。 2)ペルフルオロオクタンスルホン酸の体性幹細胞分化に対する影響 平成18年度までにゴマフアザラシにおいて体性幹細胞を含む間質間葉系細胞を脂肪細胞に分化させる方法を確立している。平成19年度はこの方法を用いて、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)がアザラシ脂肪組織由来の間質間葉系細胞が脂肪細胞分化する過程に対する影響を調べた。しかし、野生動物から検出されている濃度(0.04-4ppm)のPFOSは体性幹細胞が脂肪細胞に分化する過程において脂質の細胞内への蓄積や脂肪細胞マーカー遺伝子発現に影響を与えないことが示唆された。
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