2006 Fiscal Year Annual Research Report
炭水化物系バイオマスの水素・エタノール複合発酵によるエコエネルギー生産の研究
Project/Area Number |
18651030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 玉友 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30361140)
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Keywords | バイオエネルギー / 水素生産 / 水素発酵 / 炭水化物 / でんぷん / 高温 / 水素収率 / 化学量論 |
Research Abstract |
化石燃料に替わるクリーンな新エネルギーとして水素が注目されている。嫌気性水素発酵法は,カーボンニュートラルで再生可能なバイオマスから微生物を用いて水素を生産する方法であり,化石燃料の消費を抑制し環境問題の改善に寄与できる持続的な水素の生産方法として期待できる。水素発酵は炭水化物を用いた時に水素生成ポテンシャルが大きくなることから,基質として炭水化物系の資源作物を利用することが効果的であると考えられる。 本研究では炭水化物系資源作物からの連続式高温水素発酵の特性に及ぼす植種細菌群の影響を検討することを目的として,5つの異なる混合微生物群を植種細菌群としたでんぷんの長期連続式高温水素発酵を行った。具体的には、活性汚泥の高温消化汚泥,搾乳牛糞の高温消化汚泥,コンポスト,高温酸発酵槽汚泥,下水汚泥の高温消化汚泥をそれぞれ用いて,55℃,HRT24時間の条件ででんぷんを基質とした長期連続式高温水素発酵を行った。本研究より、以下の知見が得られた。 1)全系列において50日以上の長期間において安定的に水素が生成された。最大水素収率は活性汚泥の高温消化汚泥を用いた時に得られ,2.32molH_2/hexose convertedであった。この時の水素発酵の化学量論式は,以下のように与えられた。 でんぷん→2.32nH_2+2.14nCO_2+0.5n酢酸 +0.63n酪酸+0.11n菌体(C_5H_9O_3N) 2)基質の分解率は植種細菌群によって大きく異なった。また,水素発酵の化学量論式もそれぞれ異なった。 3)本研究において高い水素収率を得た系列では,酪酸発酵パターンによる水素生成の寄与が大きかった。
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