2006 Fiscal Year Annual Research Report
土壌における芳香族化合物分解の評価に機能遺伝子データを網羅的に用いる手法の開発
Project/Area Number |
18651031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 太 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (30312979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢木 修身 日本大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (40132865)
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Keywords | 機能遺伝子 / 環境診断 / 土壌汚染浄化 |
Research Abstract |
まず環境中のベンゼンオキシゲナーゼ遺伝子の配列を幅広く得るために,既報のベンゼンオキシゲナーゼ配列をもとに新規のPCR用のプライマー設計を行った。ベンゼンモノオキシゲナーゼ遺伝子として2種類の配列が,ベンゼンジオキシゲナーゼ遺伝子として4種類の配列が報告されている。ベンゼンモノオキシゲナーゼの2種類はコンポーネント構成の異なる系統的にも離れた遺伝子であったため,それぞれの近縁配列を捉えることのできるBO11,BO12プライマーセットを設計した。ジオキシゲナーゼの4種類は系統的に近縁であったため,これらの近縁配列を捉えることのできる,同一のフォワードプライマーを使用する2種類のプライマーセット,BEDeおよびBEDmを設計した。 次に,蓮田土壌(土壌I)および畑地土壌(土壌II)にベンゼンを添加し,分解試験を行った。その結果,添加ベンゼンは速やかに分解された。このベンゼン分解土壌より抽出したDNAに対し,設計したプライマーセットおよびトルエンモノオキシゲナーゼをターゲットとする既報のRDEGプライマーセットを用いてクローンライブラリーを作成し,その配列の多様性を解析した。その結果,BO11,BO12,RDEG, BED(BEDeおよびBEDm)それぞれのプライマーセットに対し,27,22,48,46種類の多様なアミノ酸配列が得られた。これらの中には,既報のベンゼンオキシゲナーゼ遺伝子に近縁な配列も存在したが,一方で新規のクラスターを形成する配列も得られ,土壌中のベンゼンオキシゲナーゼの多様性が示された。また,土壌IとIIより得られたクローンには配列が一致するものは観察されなかった。また,ベンゼン分解によりクローンライブラリー中の割合が相対的に増加した配列が観察され,ベンゼン分解に関与しているのではないかと考えられた。
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