2006 Fiscal Year Annual Research Report
重金属汚染低減化にカドミウム高度蓄積能を持つ単細胞緑藻を利用するための基礎的研究
Project/Area Number |
18651032
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
冨永 典子 お茶の水女子大学, 生活環境研究センター, 教授 (30164031)
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Keywords | 環境負荷低減技術 |
Research Abstract |
本研究は、重金属汚染土壌・水の汚染低減化に好酸性単細胞緑藻を利用するための基礎的研究を目的とし、以下のように研究を進めてきた。 平成18年度において、好酸性単細胞緑藻の重金属(Cd)の無毒化に関連すると推測される酵素の遺伝子検索を行った。他植物の配列情報をもとに、高度Cd蓄積性のChlamydomonas acidophila DVB238(DVB238株)と高度Cd蓄積性ではないChlamydomonas reinhardtii KT-1(KT-1株)のγ-glutamylcysteine synthetase遺伝子の単離を試みた。その結果、DVB238株、KT-1株より、それぞれ予測全長1400bpのうち1000bp、700bpの本酵素遺伝子配列を決定することが出来た。配列を解析すると、2種間では相同性が非常に高く数塩基の違いしかみられなかった。また、他の植物の本酵素遺伝子とは、全体にわたつて相同性がみられた。今後、各株の遺伝子の全長を決定し、中性領域に生息するChlamydomonas reinhardtiiとともに、これら3株間の相違を比較検討する。 また、今年度行う形質転換体作製にむけて、電子銃や形質転換体のスクリーニングの条件を決定し、形質転換体の作製方法の確立を行った。さらに、大腸菌や、近縁種のChlamydomonas reinhardtiiの本酵素遺伝子を導入した形質転換体の作製を行った。Chlamydomonas acidophila DVB2s88の本酵素の遺伝子の全長が決定出来次第、この遺伝子を過剰発現するような形質転換体を作製し、本酵素の重金属耐性、Cd蓄積性に対する効果を確認する。 また、本酵素遺伝子の発現の変化を半定量的なRT-PCRで解析したところ、これらの3株において、Cd曝露によって本酵素遺伝子の発現が誘導されることが明らかになった。今後、Real time-PCRを用いて、より詳細に解析を行う。
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