2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマター反応場:高分子ゲルを用いる新概念の分子触媒反応媒体の実現
Project/Area Number |
18651043
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永島 英夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50159076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂田 裕輔 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (70403988)
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Keywords | ソフトマター / 触媒 / 触媒反応場 / 高分子ゲル / シリコーン樹脂 / シロキサン / 繰り返し再利用 |
Research Abstract |
本研究は「分離・回収・再利用が簡単な触媒」を、コロイド、ゲルのようなやわらかい物質が作る複合系である「ソフトマター」を用いた新しい触媒反応媒体を提案し、実現することを目的とする。 「ソフトマター触媒反応場」の概念を実証するため、A.形状を維持する固状コロイドである高分子ゲル(制御した数の架橋点を有するゲル状の高分子)に分子触媒種、または、ナノ微粒子を固定化した触媒を合成する。B.少量の溶媒に溶解した反応基質を、ゲル中に取り込ませて膨潤させる。C.この膨潤したゲルを触媒反応場として反応させ、D.反応終了後に、触媒はゲル内に残したまま、ゲルを収縮させて生成物をゲル外に追い出す。という4つのステップを経由する触媒系を設計し、「分離・回収・再利用が簡単な触媒」とそのプロセスを実験的に検討した。 その研究成果として、ポリメチルヒドロシロキサンをルテニウム、および、白金触媒により活性化し、アミドを基質として反応させることにより、上記の4つのステップのうち、Aのステップについて、高分子ゲルを酸素架橋により合成する手法を確立した。また、その延長として、アミドの代わりに2つ以上の水酸基を有するアルコール類を利用したゲルの合成法についても検討し、良好な結果を得ている。これらの成果をもとに、B〜Dの予備的な検討をおこない、Bについては、ゲルの可逆的な膨潤を確認した。反応基質の取り込みの直接証拠は今年度の課題であるが、Cが実現していることから基質の可逆的とりこみが起こっていることも明らかである。Cは金属内包高分子ゲル自体を反応剤とする還元反応の実現、ならびに、金属内包高分子ゲルを触媒として用いた、アルケンの異性化反応を実現した。Dについても、繰り返し再使用が可能であること、および、金属のリーチングがほとんどないことから、「分離・回収・再利用が簡単な触媒」の基本概念の実証に成功した。
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