2006 Fiscal Year Annual Research Report
かご型アルカリハライドナノ結晶への極性分子吸着反応の研究
Project/Area Number |
18651044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
美齊津 文典 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20219611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
リントゥルオト 正美 京都府立大学, 人間環境学部, 講師 (10275191)
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Keywords | アルカリハライド / クラスター / 溶解反応 / 潮解 / 質量分析 / ナノ結晶 / かご型構造 / 分子吸着 |
Research Abstract |
アルカリハライド結晶のクラスター、例えばNaFクラスターは正イオンNa^+と負イオンFから構成され、バルク結晶における面心立方格子構造の部分構造をとることが知られている。そのためにこのクラスターはナノ結晶とも呼ばれ、一価正イオンNa_nF_<n-1>^+の場合n=14,23,32においてそれぞれ(3×3×3),(3×3×5),(3×3×7)型の直方体構造となって安定に存在する。このクラスターへの分子吸着反応を調べることによって、バルク結晶表面に対応した微視的知見を得ることができると期待される。 本研究ではNa_n,X_<n-1>^+(X=F,I)を対象としてROH分子[ROH=H_2O,CH_3OH,(CH_3)_2CHOH,(CH_3)_3COH]の吸着反応を質量分析によって調べた。その結果、X=F,Iいずれの場合も反応性はn=13で高く14で低いことがわかった。また、Rが大きくなるにつれて、どちらの場合もn=13の高い反応性が失われる傾向を持つことが明らかとなった。一方、理論計算の結果から、Na_nX_<n^^-1>^+に対するROHの吸着反応ではOH基のO原子がXの欠陥位置に配位する傾向が予測された。したがってROHのRの部分を変えることは、単純に分子のかさ高さを変えていることに対応すると考えられる。n=13は欠陥位置の違いなどから複数の構造異性体が考えられるが、分子が大きくなると吸着反応性が低下するという実験結果は、n=13では(3×3×3)の立方体構造の内部に向かって欠陥を持つかご型構造をとっていると考えるとうまく説明できる。すなわち、n=13への吸着はかご型構造内部への侵入による過程が主となっていると結論することができた。
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