Research Abstract |
金属ナノ粒子はこれまで,主に触媒機能の研究が数多く報告されてきたが,最近,次々世代の磁気記録材料としてFePt金属ナノ粒子が大きな注目を集めている。しかし,バルクで最も磁性の強い永久磁石は,希土類磁石である。そこで本研究では,我々のこれまでの金属ナノ粒子合成の経験を生かして,希土類ナノ磁石を合成することを目標とした。具体的には,室温強磁性永久磁石の中で最も強力で,一般に広く用いられているサマリウム-コバルト系磁石のナノ粒子化を達成し,室温強磁石を示す希土類ナノ磁石を創製することを目指した。 1)既に平成18年度の研究で,Sm(acac)_3とCo(acac)_3を用い,テトラエチレングリコール中で280℃まで加熱還元することにより,室温で最大1500 Oeの保磁力を持つSmCo_5合金ナノ粒子を得た。しかし,このためには大過剰量のSmが必要であり,過剰分はSmCo_5の合成には使用されず分解して廃棄されることになる。そこで,できるだけSm/Coの仕込み比を1/5としてSmCo_5磁性ナノ粒子を合成する方法として,10%以下のHAuCl_4を添加する系を考案したところ,Auナノ粒子が触媒として作用し,これが核となってSmCo_5を生成することを見出した。 2)さらに,金に替え,より安価な銅の添加を検討した。この場合,還元剤としてテトラエチレングリコールだけでは還元が不十分だったので,NaBH_4を併用することで,室温強磁性のSmCo_5磁性ナノ粒子の合成に成功した。
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