2006 Fiscal Year Annual Research Report
一端を刺激応答性ポリマーで閉じたカーボンナノチューブの薬物輸送システムへの応用
Project/Area Number |
18651066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京谷 隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90153238)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 鋳型法 / 薬物送達システム / 刺激応答性ポリマー |
Research Abstract |
平成18年度においては、まずアルミニウム陽極酸化皮膜の均一な一次元細孔を鋳型として利用し、長さと径が厳密に制御された試験管状のナノチューブを調製した。このナノチューブ一端が必ず閉じ、他端が必ず開いており、水に容易に分散する。次に、このナノチューブの開口端をポリマーで栓をすることを試みた。熱可塑性であるポリスチレンのポリマーを用いた場合、鋳型からチューブを取り出す前に炭素堆積鋳型基板とポリマーをガラス転移温度以上でホットプレスすることで、基板表面に存在するポリマーを容易に剥離でき、ナノチューブの内部だけにポリマーを導入することができた。つまり、ポリマーはナノチューブの栓として機能すると考えられる。なお、この栓をしたナノチューブも水に分散することが分かった。ナノチューブ内部へのポリマー導入量の制御を試みたところ、ホットプレスの時間と温度を変えることで、ある程度、制御できることがわかった。開口端付近にコルク栓のようにポリマーを導入できる可能性もある。しかしながら、そのほかのポリマー、例えば温度応答性のポリマーであるn-イソプロピルアクリルアミドポリマーを用いた場合、以上の方法ではナノチューブ内に導入することはできなかった。ポリマー溶液を用いた実験でも内部に導入することができなかったので、ポリマーの合成をカーボンの存在下で行い、ナノチューブの壁面へポリマーをグラフト化させることを現在検討中である。なお、上記の研究成果の一部を2006年12月に北海道大学で行われた炭素材料学会年会でポスター発表した。
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