2006 Fiscal Year Annual Research Report
光化学反応を利用した細胞情報入力の時空制御システムの開発
Project/Area Number |
18651069
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐甲 靖志 独立行政法人理化学研究所, 佐甲細胞情報研究室, 主任研究員 (20215700)
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Keywords | 上皮成長因子 / 神経成長因子 / ケージド化合物 / 可視化計測 / 細胞内カルシウム反応 |
Research Abstract |
EGF(NGF)-Ras-MAPKシステムを主要な応用例として、ケージド情報伝達分子を合成し、光化学反応による情報入力制御法を開発することを目標とする。光で活性制御可能な情報伝達分子の合成、ケージド情報伝達分子をガラス基盤に結合する方法の開発、デジタルミラーデバイス(DMD)を応用した照射光学系の作成が開発要素である。 本年度はケージド情報伝達分子の開発を行った。ケージド化合物と同様の化学修飾をおこなう蛋白質修飾試薬で上皮成長因子(EGF)の修飾条件を検討し、本来のEGFが持つ細胞内カルシウム応答を誘導する生理活性を、ほとんど失った修飾EGFを得ることができた。EGFは1-10nMでHeLa細胞にカルシウム応答を誘起するが、修飾EGFは1μMでもほとんど反応を起こさなかった。 同様の条件でEGFをケージド化合物で修飾し、ほぼ同じ反応効率でケージド化したEGFを得ることができた。ケージドEGFは少なくとも100nMまでカルシウム応答を起こさなかった。(これ以上の高濃度は、試料作成の都合上、現在得ることができない。)あらかじめUV照射したケージドEGFで、カルシウム応答の誘導活性が回復することを確認したが、光解除条件の最適化は今後の課題である。 ケージド化などの化学修飾によって、EGFの活性は1/100程度に減少していると思われるが、現在の標品は未精製であり、精製によってさらに活性の低いケージドEGFを得ることが可能であると予想している。また、同様の反応で、神経成長因子(NGF)もケージド化することができると考えられるため、反応条件検討を行っている。
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[Journal Article] Single-molecule analysis of epidermal growth factor binding on the surface of living cells.2006
Author(s)
Teramura, Y., Ichinose, J., Takagi, H., Nishida, K., Yanagida, T., Sako, Y.
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Journal Title
EMBO J. 25
Pages: 4215-4222
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