2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性誘導に関わる細菌の2ーコンポーネントシステム
Project/Area Number |
18651099
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有本 博一 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (60262789)
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Keywords | バンコマイシン / 耐性菌 / 2-コンポーネントシステム / ヒスチジンキナーゼ / 耐性誘導 |
Research Abstract |
臨床の現場において、薬剤耐性菌の出現は深刻な問題である。なかでも、グラム陽性重症感染症の切り札であるバンコマイシン耐性菌に対する対策が急務である。バンコマイシン耐性菌は、平時は耐性の性質を発現していないが、バンコマイシンで治療を始めると耐性が誘導されて薬剤が無効となる。バンコマイシン耐性菌の耐性誘導に2-コンポーネントシステムが関与していることが知られている。すなわち、ヒスチジンキナーゼであるVanSがレスポンスレギュレーターであるVanRを制御している。耐性誘導を効率的に阻害することができれば、既存のグリコペプチド抗生物質が効果を示すので臨床上有用と考えられる。しかし、VanSセンサー蛋白質と直接相互作用して、耐性を誘起する化学種が明らかでないために合理的な分子設計をおこなうことは困難である。我々は、バンコマイシンを化学修飾することにより、バンコマイシン耐性菌に有効な分子を見出してきた。それらの中に上述の耐性誘導を引き起こさない化合物が含まれるか否か検討することにした。 まず、耐性の誘導を酵素レベルで評価できる新規のアッセイシステムを立ち上げた。評価の結果、著者らが合成したバンコマイシン誘導体の中にVanB型のVRE耐性を誘起しない化合物が見出された。現在のところ、VanA型の耐性を誘起しない化合物は見つかっておらず、次年度も探索を続ける予定である。 また、論文報告されているヒスチジンキナーゼ阻害剤を合成し、これらがバンコマイシン耐性菌の耐性誘導を阻害するか否かについて検討を始めた。
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