2006 Fiscal Year Annual Research Report
デカルト『哲学原理』第一部のテキスト生成に関する歴史的研究
Project/Area Number |
18652002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 弘明 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (40106258)
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Keywords | デカルト / 哲学原理 / スコラ哲学 / ユスタッシュ / 哲学大全 / 形而上学 / 認識の諸原理 / 翻訳註解 |
Research Abstract |
デカルト『哲学原理』第一部の研究に関して、予定どおり前半部分を終了した。すならち第1〜49節について、翻訳・解釈・参照・脚注の作業をすべて終え、索引(邦語・ラテン語)も作成した。とくに「参照」に力を入れたが、これによって『方法序説』や『省察』などと比して『哲学原理』の独自性が明らかになりつつある。またスコラ哲学との比較による「解釈」や「脚註」は、日本ではじめての試みであり、研究者の役にたつだろう。 以上に加えて二つの「付論」をも用意した。第一は、ユタッシュ・ド・サンポール『哲学大全』第四部の目次の翻訳である。この翻訳紹介は本邦でははじめてのことであり、学界に裨益するところ大であろう。第二は、現代の研究者(R.アリュー、J-M.ベイサッドによる関連3論文のレジュメである。これは本文読解への貴重な指針となろう。 これで研究計画全体の60%を終えたことになる。予定より進捗は早いが、これには3人の研究協力者との都合4回にわたる合同研究会(9月、11月、12月、1月)、Web上での密接な情報交換によるところが大きい。 予算執行については、小型のノート・パソコンの購入、書籍購入、出張旅費、謝金、が主な項目であるが、研究実績としての海外出張について言えば、ハンガリー(ブタペスト・エルテ大学)でのASPLEF国際フランス哲学会出席、フランス(パリ大学)などでの資料収集および研究交流を行った。いずれも日本にいるのでは獲られない大きな収穫があり、来年度に向けての研究の方向づけも得た。
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