2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18652013
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
澤田 雅弘 群馬大学, 教育学部, 教授 (20162547)
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Keywords | 書道史 / 石刻 / 北魏 / 元毓墓誌 / 元〓墓誌 / 元〓墓誌 / 元詳墓誌 |
Research Abstract |
建義元年(528)4月13日に殺害され、同年7月30日に西陵に葬られた兄弟、元毓・元〓の両誌、及び永平元年(508)11月6日に北山に葬られた兄弟、元〓・元詳の両誌、両組計4誌について刻法の分布を検討し、各組の研究成果をそれぞれ公刊した。成果の概要は以下の通りである。 [元毓・元〓両誌](1)筆者については、趙万里の指摘通り同手であること。(2)刻法の分布については、元毓墓誌は来源が同じでないA・B(Bの一部には同一刻法保持者の別手と考えられるbを含む)両刻法からなり、元〓墓誌は来源が同じでないC・D両刻法からなること。(3)そのAとCの刻者は同一刻法保持者の別手であり、BとDとも同一刻法保持者の別手であること。また、bとDとは同手である可能性が考えられること。 [元〓・元詳両誌](1)筆者については、趙万里は同手の可能性を指摘するが、実は同一書法を継承する別手であること。(2)刻法の分布については、元〓墓誌は来源が同じでないA・B両刻法からなり、元詳墓誌も来源が同じでないC・D両刻法からなること。(3)そのAとCの刻者は同一刻法保持者同士であること。また、BとDの刻者は類似刻法保持者同士ではあるが、AとCほどの酷似性はないこと。 そして、刻法の分布すなわち鐫刻の分担について、両組共通の興味深い現象を発見した。それは、おそらく同工房内で造られたと考えられる同日葬の兄弟2誌を鐫刻する際に、各誌の鐫刻を、同一刻法保持者同士が担当せず、別の刻法保持者と組んで分担していることである。この現象の普遍性のいかん、及びその意味、その他の鐫刻機構究明にかかわる刻法分布については、研究の準備を進めている各誌の事例をまって明らかにしたい。
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