2006 Fiscal Year Annual Research Report
着物文様としての戦争イメージに関するデータベース作成
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18652017
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
乾 淑子 北海道東海大学, 国際文化学部・地域創造学科, 教授 (40183008)
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Keywords | 戦争美術 / 近代の着物 / 日清戦争 / 日露戦争 / 15年戦争 / 愛国婦人会 / プロパガンダ / 国威発揚 |
Research Abstract |
本研究の趣旨は戦争柄着物とその関連資料についてデータベース化することである。そのために必要な作業の第一段階である資料の収集・所蔵に関する調査の9割は終了した。対象となる主たる資料の85%は申請者の所蔵品であるが、その他の所有者のうち、6件(堀内泉甫、岡本正子、磯映美、堀切辰一、上田美枝の各氏、服飾文化研究会)には本データベースへの収録の許可を得た。3件(川島織物資料館、お茶の水女子大学付属高校、田中翼氏)については問い合わせ中である。 第二段階としてはそれぞれの資料に関する情報(素材、図柄の同定、着用形式・使用目的の分類、制作年の推定など)を調査することである。それについては未だ進行中という他にない。つまり、調査をすればするほどに新たな疑問点が頻出するからである。ただし、調査結果について部分的には逐次、論文の形で公表している(下記の<11。研究発表>の項目を参照)。本研究に関してこれまで公表してきた論文(「戦争柄としての旗文様」「着物文様としての大日本帝国地図」「戦争画としての桃太郎の着物」など)は布に表現された文様について考察したものが中心であったが、本年の「愛国婦人会というイメージ」では、ある特定の団体を表象するさまざまな身に付けるものを分析した。 また、一般の方々の展覧に供するために2006年8月9日〜19日には東京都港区の平和展(男女共同参画センターにおいて実施)に45点ほどを出展し、2007年6月29日〜7月1日には札幌で、9月5日〜9日には西宮で展示する予定である。研究資料としてデータベース化することはもちろん重要ではあるが、実物をご覧いただくことによって大きさ、材質などを直に理解していただくことができると考える。また、ご覧いただいた方からの新たな情報提供もあり、展示の有効性を確認できた。 第三段階として、本資料は視覚的に理解されることが重要であるという観点から、すべての資料を写真に撮る必要がある。すでに約250点については撮影が終了しており、残りの200点についても撮影し、その結果をファイルメーカーを用いてデータ化する予定である。 また、本研究の成果にっいては貴志俊彦氏の「戦前期絵葉書データベース」(現時点では島根県立大学のサーバーにあるが、近々に神奈川大学に移転の予定である。すでに管理者が神奈川大学に移動したため)との交流の申し出があり、そちらとの共同作業化に向けて検討、準備中である。
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Research Products
(2 results)