2007 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀におけるイタリア王国の「美術外交」に関する研究
Project/Area Number |
18652020
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
河上 眞理 Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 准教授 (20411316)
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Keywords | 美術史 / 美術学校 / 美術教育 / 美術アカデミー / 19世紀 / イタリア / 外交 / エミリオ・ヴィスコンティ・ヴェノスタ |
Research Abstract |
本研究の2年目である平成19年度は、昨年度に行った調査によって明らかになってきたこと、すなわち、第一に、イタリアが国際関係の中で「イタリアは美術の国である」との自覚を強める機会や出来事があったことと「美術外交」推進との間に直接的な関係性が認められる点、第二に、建国間もないイタリア王国の政府中枢部に実質的な「美術外交」推進者が存在した点、以上の二点に関し、さらなる確証を得るべぐ研究を進めた。 また、19世紀の美術学校(美術アカデミー)に関するイタリア・フランス間の比較研究に関し、国内及びイタリアなどにおいて、フランスの美術アカデミーおいて使用されていた、古代作品の石膏像モデルのオリジナルの多くは、イタリア半島出土のものであったという情報を得た。この事実は、イタリア王国が美術学校(美術アカデミー)の設立を通して、美術外交を推進していくにあたっての、重要な背景を成していることが確認された。 これらの成果として、以下の論文を発表した。 1.「美術と政治家-19世紀イタリア王国の国家建設過程から-」『京都造形芸術大学紀要GENESIS112006』2007,pp.120-132. 2.「イタリア王国の「美術外交」-「美術」という制度の「輸出品」としての美術学校」『Aube比較藝術学03』2008,pp.116-130. また、イタリアでの現地調査では、文書館や図書館などにおいて、一次史料の博捜、及びその分析を行い、「美術外交」を推し進めるにあたって、イタリア王国政府中枢部において意識されていた文化史観と、これに基づく具体的な施策があったことを描き得る材料を得た。
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