2006 Fiscal Year Annual Research Report
軍記を中心とした日本古代中世文化と戦争被害の諸相に関する包括的研究
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18652022
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久保 勇 千葉大学, 大学院人文社会科学研究科, 助手 (10323437)
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Keywords | 軍記 / 戦争 / 斬首 / 陸奥話記 / 後三年合戦 / 前九年合戦 / 死刑 / 源氏 |
Research Abstract |
「軍記と絵巻と寺院-<初期軍記>における「斬首」の表現をめぐって-」において、「斬首」の史的変遷と研究史を確認、『陸奥話記』『奥州後三年合戦記』における「斬首」の表現を分析している。『陸奥話記』において、将軍・源頼義による断罪の段階が描かれており、「追討命令遂行型斬首」という位置づけをおこなった。一方、『後三年記』における「斬首」の表現には、断罪の段階が希薄で、その遂行は義家の「私怨」に満ち、『話記』との対照が明らかである。懸小次郎が家衡の首を取る場面から、敵の正体を明らかにせぬまま斬る、「成果事後報告型斬首」という行為が見出すことができる。こうした「斬首」が、戦禍を拡大していくこと、後に『平家物語』などに描かれる斬られた首の主にかかる哀話を生んでいくこと、等々を指摘している。また、『話記』の頼義と『後三年記』の義家との対照を、頼義往生・義家堕地獄を語る説話伝承世界に探り、<後三年合戦>という事件直後から、義家を批判する-戦争責任を問う-向きの伝承が語り継がれた一世紀(1100〜1200年)を想定、その後「源氏の世」の出来により、その批判が失われたことを論じた。権力の交替によって「戦争」への批判が変容するという問題は重要であろう。また、室町期成立とされる『後三年合戦絵巻』は、野中哲照の一連の検証結果、『吉記』『康富記』の記事通り、後白河院周辺で承安年間に制作されたものと解し、その成立契機について、「源氏の武」に抗するモノとして具現化されたと判じた。『後三年記』は、作品の本質として「戦争への批判」(源氏の武)を有しており、他の軍記作品に比して特異な位置にあること、また「寺院」という「場」で維持された問題等についても言及している。(http://mitizane.11.chiba-u.jp/curator/に掲載)また、「研究展望<初期軍記>」で、「戦争被害」分析の必要性について触れている。
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Research Products
(2 results)