2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18652023
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 泰郎 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60193009)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 恒一 国立歴史民俗博物館, 第一民俗研究部, 助教授 (50286671)
近本 謙介 筑波大学, 人文社会科学研究科, 助教授 (90278870)
|
Keywords | 宗教テクスト / 中世寺院 / 聖教 / 唱導 / 法会 / 神道 / 安居院 / 三宝院御流 |
Research Abstract |
中世において多様な展開と変奏を示す宗教テクストの全体像を、総合的に展望しつつ、それらに共通する普遍的な構造を見出す契機を探る本研究の初年度においては、その中でも重要な媒介的位置にあると推測される唱導文献について、一方でその広がりと範疇を確認すべく、称名寺(金沢文庫)と真福寺(大須文庫)の聖教に含まれる各種唱導のテクストの探査を行った。特に後者では、断簡中に含まれる安居院唱導書『安極玉泉集』や南都系の『弁暁草』等が見出され、解読分析による成果があった。その後安居院唱導の頂点というべき澄憲草聖覚編『転法輪鈔』の国立歴史民俗博物館本の輪読を開始し、研究分担者である歴博メンバーとの共同研究による公刊に向けた態勢が整った。 また、宗教テクストの重要な側面である神道のテクスト(神祇書)についても、真福寺聖教中の「野決」具書中の神祇書が改めて認識され、守覚と勝賢による「三宝院御流」聖教の中に『麗気記』以前の初期両部神道テクストの体系が創出されていたことが明らかになった。また、儀礼と結びついた宗教テクストの様相と機能を、現在の寺院における伝統法会のなかに探るべく、富山県南砺市城端の全徳寺で行われる虫干法会のフィールドワークを行った。これらの調査と共同研究は次年度も継続して行われる。
|