2007 Fiscal Year Annual Research Report
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18652023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 泰郎 Nagoya University, 文学研究科, 教授 (60193009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 淳司 明治大学, 文学部, 講師
近本 謙介 筑波大学, 人文社会系研究科, 准教授 (90278870)
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Keywords | 中世寺院 / 聖教 / 宗教テクスト / 儀礼テクスト / 唱導 / 文観 / 真福寺 / 田中穣旧蔵文書 |
Research Abstract |
中世寺院経蔵の聖教体系を、宗教テクストの視点からその諸位相を多面的に検証し、それらを全体として統一的に関連づける論理構造を復原的に考察するため、真福寺を中心とした各寺院・文庫の調査を行った。 一、十四世紀の真言僧、文観弘真の著作聖教について、真福寺を中心として、高野山、仁和寺等の聖教中からあらたに発見した著作を調査・解読し、その概容をロソドン大学の特別セミナー(08年3月)において報告した。 二、中世顕密仏教を構成する聖教を、その基盤となる一切経の形成から、目録という指標を介して生成的に認識し、その中で成立するカテゴリー毎に、その座標となる密教聖教体系のなかから、神童書の成立を位置付け、さらに即位灌頂聖教体系の成立と流布、また密教の中枢から成立した文観の三尊合行法の新出資料により、体系的に検証して、綜合的に中世宗教テクストの体系を論じた。この論文は、ルチアドルチェ編『儀礼の力』と『日本文学』誌にそれぞれ掲載される予定である。 三、国立歴史民俗博物館所蔵田中穣旧蔵文書中の聖教記録(特に、安居院唱導書『転法輪紗』)を、宗教テクストのうち、儀礼テクストとして再認識する目的の、共同研究を立ち上げるため、大学・文庫等の関係機関と研究者による調査を兼ねた打合せを行った。 この結果、共同研究は、平成20年度の人間文化研究機構の公募研究として採択され、本格的に開始されることになった。
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