2007 Fiscal Year Annual Research Report
保健・医療・福祉に利用できる方言データベースとコミュニケーションマニュアルの開発
Project/Area Number |
18652044
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
岩城 裕之 Toyama National College of Maritime Technology, 教養学科, 講師 (80390441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友定 賢治 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (80101632)
日高 貢一郎 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (30136767)
今村 かほる 弘前学院大学, 文学部, 准教授 (50265138)
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Keywords | データベース / アンケート / ニーズ調査 / 富山方言 / 津軽方言 |
Research Abstract |
今年度は、次の2点について研究を行った。(1)データベースの基礎部分を作成すること(2)コミュニケーションマニュアル開発のための保健・医療・介護現場での具体的なニーズ調査(1)データベースの基礎部分の作成 データベースに収録する方言語彙の調査では、富山および飛騨での方言の調査を実施した。 富山調査では、富山市と氷見市を中心に、データベースに必要な語彙の調査を実施した。「だやい」「てきない」などの体調を示す語については、富山県内で意味の地域差もみられることがわかり、重点的に調査をする必要があることが判明した。患者が訴えたい内容が、同じ語を使用していても地域によって違いがあることが、医療現場での混乱につながる可能性を発見した。 飛騨調査は高山市で実施した。地域差も大きくなく、新たなデータとして追加できた。 次に、昨年度実施の弘前方言のデータベースの試作とデータベース用音声収録を行った。 データベースの試作と音声収録は順調に進んだが、ユーザーの入力パターンについてデータを取る必要があることが明らかとなった。津軽方言は発音に特徴があり、外来者で初めて聞く場合「どう書いて良いかわからない」語が多く、そのため、紙メディアの辞書では調べられないという問題が明らかとなった。そこで、サンプル音声を聞かせ、それをどう筆記するかというデータを取り、データベースに反映させる作業を開始した。今年度は20名程度のデータを収集した。 (2)コミュニケーションマニュアル開発のための具体的なニーズ調査 富山、弘前、大分での看護実習生に対するアンケート、および、弘前でのシンポジウム(意見交換会)を開催した。 アンケートでは、地元出身者であっても老年層のことばがわかりにくい弘前、比較的理解する富山との違いが明らかとなった。また、外来者にとっては方言の理解が難しいことは、いずれの地点でも明らかとなった。また、富山においては、多くの実習生が方言で話すことは良いことであると考えており、方言データベースが必要とされている実態を明らかにした。 3月に実施した弘前でのシンポジウムは、マスコミ各社の注目も集め、津軽地域の問題として、このような方言データベースのニーズが高いことがわかった。特に、手帳サイズで、重要な語を一覧にしたものが「マニュアル」として望まれていること、実際に音声を聞くことができるようなデータベースの2つが望まれていることが明らかとなった。
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