2006 Fiscal Year Annual Research Report
茨城県大洗町定住インドネシア人の異文化受容と日本語学習の関係に関する多角的研究
Project/Area Number |
18652048
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
助川 泰彦 東北大学, 国際交流センター, 助教授 (70241560)
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Keywords | インドネシア人 / 移住労働者 / 日本語習得 / 心理的距離 / ピジン化 |
Research Abstract |
大洗在住のインドネシア人移住就労者の日本語習得の実態と日本語習得に影響を及ぼす要因を明らかにしようとした。2006年末現在で推定700人程度と思われる同町在住のインドネシア人は5年以上の長期に渡って滞在しているものが大半であるが、53名に対する調査の結果以下のようなことが分かった。 (1)48名(90.6%)が日本語能力がゼロに近いか、1語文やあいさつなどの定型表現でかろうじて会話が行える程度の能力しか習得していないレベルにある。 (2)5名(9.4%)が2語文以上の文構造を用いて会話を維持できるレベルにある。 この結果は、「なるべく日本語能力の人に会って話がしたい」と関係者に要請し続けて調査した結果であり、実際には(2)のレベルにある者の率はさらに低いことが考えられる。 このようにほとんどのインドネシア人において日本語のいわば「ピジン化」が起きている原因をインタビュー調査によって探ってきた結果、いくつかの原因が浮かび上がってきた。第一に、各労働現場に一人でも日本語にある程度堪能な者がいるとその者に頼ってしまうことで、日本語習得が進まないことである。第二に、日本人社会との心理的な距離感が非常に遠いことが学習意欲を下げているのではないかということである。仕事中心で家族を大切にしない、宗教心がない、インドネシア人を低く見ているといった評価を持つにつれて、日本社会や日本人を遠い存在と感じ取り、日本語学習意欲を喪失している可能性がある。
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