2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国人日本語話者の話順交替と会話維持方略の変容と非変容に関する言語接触論的研究
Project/Area Number |
18652049
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村岡 英裕 千葉大学, 文学部, 教授 (30271034)
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Keywords | 接触場面 / 話順交替 / 沈黙 / 話題提供 / 会話維持 / 接触規範 |
Research Abstract |
本研究の目的は、言語接触における会話システムの変容と非変容について明らかにする全体構想の中で、とくに超上級の中国人日本語学習者と日本語母語話者を対象に、それぞれ母語場面と接触場面の会話データを収集し、母語場面の会話システムを分析するとともに、接触場面における中国人日本語学習者の話順交替と会話維持ストラテジーについて、どのような点で変容と非変容が現れるかを実証的に明らかにすることにある。 1年目であった平成18年度においては、主に以下の2つの作業を行った。 (1)先行研究の検討 本研究は、話順交替規則におけるFord and Thompson(1996)、その枠組みを用いて北京語母語話者同士、日本語母語話者同士、英語母語話者同士の聞き手の応答形式(reactive tokens)を対照したClancy et Al.(1996)、そして日本語母語場面の詳細な話順交替を分析したTanaka(1999)の特に3本の論文について、日本語を対照とするときに、話順交替システムをどのように修正すべきかという点から検討を加えた。 (2)データ収集 接触場面会話として、上級中国人日本語話者と日本語母語話者の9会話、母語場面会話として、日本語母語話者同士の9会話を、録音・録画し、さらに文字化資料を作成した。 (3)接触場面会話の分析 このような調査研究から、接触場面会話9例を分析し、結果としてそれぞれの母語会話規範が明らかになるとともに、中国人日本語話者による会話維持の管理がきわめて優勢であり、日本語母語話者の接触場面のコミュニケーションに対する不慣れもまた明瞭になった。ただし、どの面が母語会話規範からの転移か、どの面が接触場面の現象かについてはいまだ問題が残っており、来年度の課題と考えている。
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