2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18652054
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河合 靖 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (60271699)
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Keywords | 英語教育 / 教員研修 / 動機づけ |
Research Abstract |
平成18年度に予定していた文献研究とデータ収集のうち、文献研究については予定通り終了し、北海道大学国際広報メディア研究科・言語文化部紀要51号に研究ノートとして発表した。主な論点は次の通りである。 1.研修権は憲法に保障される学問の自由から導き出される権利であるが、中学・高校教員の場合、子どもの学習権の保障を実現するために存在する「承役的権利」つまり、他の人の利益を何らかの理由でなりかわって請け負う権利であり、親の教育権に似たものである。教員は任命権者には権利の行使を要求するが、同時に子どもに対して義務も負っている。 2.子どもの学習権を保障するための研修権とすれば、研修の内容は学習指導要領に規定される各教科の教育目標を実現するために教員が必要な知識と技術の向上に向けられるべきと考えられる。コミュニケーション能力の育成を柱にした最新の英語学習指導要領をさらに具体的に施策として具現化したのが「『英語が使える日本人』育成のための戦略構想」であり、教師が言語活動中心の授業運営を可能にするための目安としてTOEFL550点が掲げられている。 3.動機づけ理論には大きく分けて、認知理論、情動理論、欲求理論がある.認知理論は動機づけ理論の現在の主流であり、期待・価値理論とも呼ばれ、人はやるに値すると思えかつやればできると感じるときにそれを行うと考える。情動理論は近年進化心理学の隆盛とともに再興し、本研究との関連では心理的自己防衛機能が重要と考えられる。欲求理論では、現在自己決定理論の影響力が大きく、有能さ、他者との関係、自律性への欲求を満たすことで、内発的動機づけが高まると考える。 文献研究に基づき、面接、電子メール、ウェブサイトへの書き込みによるデータ収集を計画中であるが、当初の予定より遅れが出ている。19年度前半にこれを終了し、発表を行いたい。
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