2006 Fiscal Year Annual Research Report
習得段階による英語音産出の差異:機能的脳イメージングを用いて
Project/Area Number |
18652063
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
窪田 三喜夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60259182)
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Keywords | 言語脳科学 / 言語発話 / 機能的脳イメージング |
Research Abstract |
研究目的 本研究では、機能的脳イメージング装置である近赤外分光法(NIRS)を用いて、言語音産出のプロセスを脳内処理としていかにヒトは行なっているのかという課題を明らかにする。ノイズ信号を除去するために筋電図測定器を用いて、精度の高い測定を実施した。音声タイプによる脳内反応の違いはあるのか、言語能力の差異による違いはあるのか、言語を産出した場合にどのような時間的なタイミングで言語発話関連成分が検出されるのか、半球の差異は生じるのであろうか、言語発話に関連する脳部位はどこか、という側面を実証的な脳科学研究により、明らかにする。 主な研究テーマ 1.時間サンプリングを40ミリ秒ではなく、日本で最速の25ミリ秒にして、計測データ収集が可能であるか。 2.言語発話には、左半球のブローカ野が活性化されるという先行研究があるが、果たして、そうなのか。 3.ブローカ野のBA44とBA45で、活性化のレベルが異なるのか。 4.音声タイプによる脳内反応の違いは、あるのか。 主な実験結果 1.調音位置に関する脳内発話反応において、約700ミリ秒の時間で、酸化ヘモグロビン変化量(OxyHb)が最大となった。 2.この言語発話成分は、両半球で同じ結果が得られ、半球差や言語能力による違いによる反応差異が見られなかった。 3.ブローカ野のBA44とBA45の活性化レベルの差異はなかった。 4.調音位置とは異なり、有声化に関する脳内発話反応においては、酸化ヘモグロビン変化量(OxyHb)に大きな変化は生じなかった。 本研究の意義 本研究では、25ミリ秒という極めて高い時間分解能によって、言語発話の処理過程成分の検出が近赤外分光法により判明した。調音位置と有声化という異なる音声タイプによって、酸素交換の仕方・度合いが異なることが示されたのは意義がある。なお、時間的な詳細な分析が今後の課題です。
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