2007 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮の植民地初等学校-慶尚北道における伝統教育からの移行過程研究
Project/Area Number |
18652070
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
古川 宣子 Daito Bunka University, 国際関係学部, 准教授 (20307143)
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Keywords | 私設学術講習会 / 植民地初等学校 / 慶尚北道 / 近代教育 / 伝統教育 / 書堂 / 普通学校 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き、韓国の大邸達西区に滞在しながら、植民地期の初等学校について、現地調査を実施した。調査では具体的に以下のことを行った。 1)慶尚北道達城郡月背面の上仁洞を対象に、当時存在した書堂・「私立徳山学校」などについて、「洞」レベルでの補足的な調査を行った。特に、上仁洞に居住し現在も同地域に住み続けている蜜陽孫氏に対する補足インタビュー調査が実施できた。また、丹陽禺氏についても、同様の調査を行う中で、上仁洞から植民地期に日本に渡航(留学・就労)した者についての教育歴を含む経歴が一部明らかになり、日本も含む教育経験・体系の形成が示唆された。なお、その内一人については、植民地期の裁判記録が残っていることが確認できた。そこで触れられている教育歴なども、参考になると思われるため、20年度に追加の調査を実施する必要がある。 2)月谷歴史博物館に保管されている禹宗基氏関係史料について、写真撮影などが実施できた。同史料から、月背面及び上仁洞についての植民地期の地域変容(産業など)に関する分析が可能であると思われるものがあり、教育動態と関連づけた考察を試みたい考えである。 3)郡レベルでの調査としては、達城郡に関する郷土史関係資料を慶北大学中央図書館で行うと共に、ソウル大学校中央図書館や国立中央図書館などでも行った。ソウル大学校図書館では特に、保管されている植民地期史料中、慶尚北道に関する総督府関係文書が収集できた。インタビュー調査によるミクロ的接近だけでなく、これらの史料を利用することで、(慶尚)道・郡レベルにおける学校普及度について、マクロ的で通時的な考察が可能となると思われる。収集した史料については分析を進めている最中であり、更に関連する史料の未収集年度分などを調査・補完した上で、数量的推移についての分析をまとめたい。
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