2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
床谷 文雄 Osaka University, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (00155524)
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Keywords | 親権 / 後見 / 子どもの利益 / 比較研究 |
Research Abstract |
本研究は、子どもの監護状況の悪化の中で、伝統的な実親による親権行使のあり方と、これに対する公的支援の仕組みとしての後見制度を、より広い公的支援制度の中で、再検討することを目的としている。今年度は、実親による子の監護が不適当な場合における子の救済策としての、第三者への監護権の委譲に関して、外国法との比較研究を行った。実親からの監護権の一時的引き離し措置から、完全な引き離しへの段階的な措置の必要性、判断基準を検討する必要があった。さらには、第三者への完全な監護の委譲手段としての未成年養子縁組に関して、欧米韓国等諸外国法の比較研究を行った。 床谷(研究代表者)は、ドイツの親権制度(親の配慮権)に加えて、オランダの親権と後見の検討を行い、ニュージーランドについて、実情調査に基づき予備的な研究を行った。平成20年12月21日(日)には、連携研究者(本澤、本山)を招いての研究会を行い、平成21年2月24日(火)には、ドイツの実体親権法と児童福祉法との関連を研究している岩志和一郎教授(早稲田大学)を大阪大学に招き、大学院生にも公開してのセミナーを行った。連携研究者・本山はベルギーの児童監護について研究を進めた。欧州各国に共通することは、親の子どもに対する権限を伝統的な権利としてではなく、義務の側面からとらえ、裁判所や子ども保護行政機関が親の行動を監視しつつ、慎重にサポートしていることである。今回の研究を踏まえて、今後、子ども保護における私的保護と公的保護の機能連携についてさらに詳細な実情調査研究を実施したいと考えている。 実親からの子の引き離しと養子縁組に関連して、研究代表者は、連携研究者・本山と共同で、日本家族〈社会と法〉学会(平成20年11月9日)において、「特別養子制度の20年〜子の幸せを求めて」をテーマとした研究報告を行った。
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Research Products
(7 results)