2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
淺田 孝幸 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10143132)
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Keywords | 持株会社管理 / ファイナンシャル・コントロール / 事業ポートフォリオ・マネジメント / ホールディングスの統治 / M&AとHD |
Research Abstract |
本年度は、持株会社についての予備調査型のヒアリングを中心にした、サーベイ調査を実施した。訪問企業は、大手製造業を中心に、次のような企業を訪問した。富士電機HD、三菱化学HD、旭化成HD、コニカ・ミノルタHD、富士ゼロツクスHD、双日HD、新生活グループなどである。この結果から日本のHDシステムでは、本社の統治については、日本型を採用するケースが多いこと。HDからみた、小会社のマネジメントにおいては、事業ポートフォリオマネジメントを広報目的と事業統治の方法の両者に利用しており、この方法が極めて一般的なマネジメント方法であることが、示唆された。また、小会社への業績評価においては、EVA、ROEなどの財務パフォーマンスが重視されており、これまで以上にファイナンシャルコントロールのウエートが高まってきたことが、明かにされた。また、最近の話題でもある、M&AとHDの関係については、多くの企業で、100%小会社にする段階で、合併差損が発生しており、それがよりHDの財務コントロールの強化を意識づけていることが、ある程度示唆された。最後に、HDにおける管理会計の役割については、かかる調査から、多くの小会社間の取引については、ルールベースで、相対で解決することが、奨励されており(いわゆるアームレングス法)、HDの介入は抑えられていること。この結果、事業会社の投資採算のためのハードルレイトの設定、年度予算編成方針は、事業別ROIとリスクの違いに応じた区分が行われており、いわゆる、インベストメントセンターに対するミッションに応じた評価方法は、確立されつつあることが、明らかになった。
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