2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18653044
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三隅 一百 Kyushu University, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (80190627)
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Keywords | 連帯 / 社会関係基盤 / 社会ネットワーク / シンボル |
Research Abstract |
人びとの連帯とそれにもとづく協同・支援が、何を基盤とし、どういった社会的メカニズムに支えられて可能となるか。本年度はその実証的解明を進めるために、前年度の理論的検討(とくにシュッツのシンボル論)をふまえつつ社会調査を実施した。まず調査票の作成を行った。中核の質問は、シンボルとして人びとの連帯意識や支援行動を刺激する社会関係基盤を、博多っ子(福岡市民)〜九州人〜日本人〜アジア人のように、一般的かつ段階的に捉える形で設問した。また、友人ネットワークや地域イベント参加、家族関係に関する質問を、他の調査と比較できる形で設問した。さらに若干の関連質問と個人属性の質問を組み込んで調査票を完成し、実施計画通りに6月に調査会社に委託して、インターネット・モニター調査の方法により調査を実施した(「その他」調査委託費)。対象は福岡在住の25〜55歳男女モニターとし、600人打ち切りで618サンプルを有効回収した。 すぐにデータ・クリーニングを行い、7月中にデータ分析にとりかかった。連帯の基盤に関する段階性やリアリティ感覚は、ほぼ予想通りの反応であった。そこで、博多っ子と日本人に焦点を絞り、それらが人びとの連帯感を刺激するときの媒介変数を対比的に分析した。その結果、ネットワークやイベント参加よりはむしろ、より多くの社会関係基盤に近しさを感じるという意味での多重基盤性が一貫して規定力をもつことが発見された。この暫定的な成果を日本社会分析学会例会(8月、三次市)、国際社会学会・合理的選択部会の例会(9月、チューリッヒ)において発表し、分析枠組みや分析結果について多くのコメントを得た。それらをふまえた議論を日韓社会学セミナー(2008年2月、釜山)でも行った。
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Research Products
(1 results)