2007 Fiscal Year Annual Research Report
質的研究手法の研究-英語質的データ分析ソフトの日本とアジアコンテクストへの応用
Project/Area Number |
18653045
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大谷 順子 Kyushu University, 言語文化研究院, 准教授 (90403930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大杉 卓三 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (10380677)
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Keywords | 社会学研究法 / 質的データ分析ソフト / 国際研究者交流 / 中国:英国:米国:オーストラリア |
Research Abstract |
2006年9月に質的データ分析コンピューターソフトQSR(Qualitative Solutions&Research)NUD*IST(Non-numerical Unstructured Data,Indexing,Searching,Theorizing)及びNVivoの開発者であるオーストラリア国際質的社会学研究所所長リン・リチャーズ(Lyn Richards)教授、中国から四川大学や漸江大学などの共同研究者たちも招へいし、研究会を開催した後、共同研究者らと質的データソフトQSR NVivo7を実際に使用し、英語圏で開発された質的データソフトを日本や中国へ応用するときの相違点を同定し、継続して課題を話し合った。 リチャーズ教授の最新刊"Handling Qualitative Data:a practical guidebook"Sage,2005の邦訳作業を進めており、2008年北大路書房より刊行予定である。すでに初校の段階である。他に、NVivoの紹介もしているクレスウェル著の混合手法の米国大学院レベルの教科書の翻訳を進め、2008年刊行予定であり、すでに入稿も終わった。 2006年11月に『事例研究の革新的方法』を九州大学出版会より刊行した。これは、阪神大震災被災高齢者を事例にとりあげて、QSR NVivoを用いて、はじめて質的データ分析ソフトを日本のコンテクストに応用して行なった研究の具体例でもある。特に第3章研究手法では、具体的に日本のフィールデータをNVivoを用いてどのように分析したか説明し、適応時の留意点も議論をしている。現在、この中国語版の刊行準備を進めている。 2007年2月にNVivo7の日本の独占販売元となるコンピュータ会社がHulinks社に決定し、日本へのローカライズおよび販売推進がすすめられた。同年6月のオーストラリア大使館で開催された発表会において、日本での第1人者として基調講演をするようにも依頼を受けたので行なった。本研究はますますタイムリーとなっている。続けて、Hulinks社とQSR社から様々な技術的相談を受け、メールにて対応するだけでなく、同年8月に、QSRオーストラリア本社よりトレーナー・Fiona Wiltshierが来日した際、九州大学においてもワークショップを行なった。一方で、日本へのローカライズには解決が必要な諸々の問題があることを、これらの過程を通じて発見し改善点を提言した。 2007年7月に英国で開催された、第3回混合手法学会において、上記のこれまでの成果の学会発表を行い、また学会で開催されたQSR NVivoの新しい使い方のワークショップに参加し、世界各地からの研究者たちと意見交換をした。
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