2006 Fiscal Year Annual Research Report
3大都市圏の再都市化と社会空間構造の変容に関する研究
Project/Area Number |
18653046
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松本 康 立教大学, 社会学部, 教授 (80173920)
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Keywords | 都市 / 社会学 / 再都市化 / 郊外化 / 情報サービス経済 / グローバル製造業 |
Research Abstract |
国勢調査、人口動態統計などから人口、年齢構成、自然動態、社会動態、産業別・職業別人口構成などについて約80の比較可能な集計表を作成、東京都、大阪市、名古屋市が発行している年次報告書にもとづき、次の一連の研究仮説がはぼ裏づけられた。 第一次郊外化と第二次郊外化 3大都市圏は、いずれも1960年代後半から70年代にかけて郊外化を経験した後、バブル経済期に再び郊外化が生じていた。 産業構造の再編と再都市化 3大都市圏は、いずれも2000年前後から都心部を中心に人口増加傾向が見られた。ただしこの傾向は、東京都区部において最も顕著であり、大阪市において最も弱かった。産業構造・職業構造との関連を検討した結果、東京都では、90年代後半に情報サービス経済への転換が、名古屋市ではグローバル製造業支援機能の集積が、それぞれ若年専門技術職層の増大をもたらし、再都市化の要因となっているのにたいして、大阪市では素材生産型の重化学工業からの転換が進まず、都市過程の停滞を引き起こしていることが示唆された。 外国人居住の動向 産業構造の分岐に対応して、東京ではサービス業に従事する中国人やフィリピン人に加え外資系企業に勤務する多様な国籍の外国人が多いのにたいして、名古屋市では、中国人・フィリピン人とともにブラジル人の占める割合が大都市としては多くなっている。大阪では、在日韓国・朝鮮人の割合が圧倒的で、かつ減少傾向にあり、新来外国人の増加は見られない。 このように、分析の現段階において、東京は情報サービス経済中心、名古屋はグローバル製造業中心の成長を見せているのに対して、大阪では脱工業化へめ転換が十分に進んでおらず、それが都市の停滞をもたらしていることが浮き彫りとなった。
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