2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖補助医療により生まれた子どもの権利擁護とソーシャルワークによる支援のあり方
Project/Area Number |
18653056
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
才村 眞理 帝塚山大学, 心理福祉学部, 教授 (50319919)
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Keywords | 児童福祉 / 子どもの権利擁護 / 生殖補助医療 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
生殖補助医療により生まれた子どもの権利擁護とソーシャルワークによる支援のあり方について以下の通り研究を行い、社会的支援の環境づくりについての成果が得られた。 1.数年にわたる日本の生殖補助医療で生まれた子ども(現在は成人であり、以後「DI(Donor Insemination)者」と略)への継続的なインタビューの一環として、計3回のインタビューを行った。その結果、DI者自身の心情や視角が「内から外へ」とナラティブの明確な外部化が言語化されており、社会的支援への手がかりを得ることができた。 2.国外のDI者、生殖補助医療に関する援助者、研究者へのインタビューを行った。 (1)ニュージーランドにおける不妊カウンセラー、研究者へインタビューし、出自を知る権利を確保した生殖補助医療が1990年頃から実施されてきた背景、現状について調査した。 (2)イギリスにおける当事者であるDI者と研究者ヘインタビューし、真実告知の必要性と出自を知る権利を確保した2005年の法律改正の背景・改正後の状況等について調査した。その結果、法律改正への原動力や社会的支援の環境づくりの手がかりを得た。 3.ドイツで開催されたGlobal Social Work Congress 2006においてEssence of Artificial Insemination by Donor-"Social abuse" to the Children,を発表し、国際社会における少数の先駆的研究者による共通認識作りに寄与した。また、ドイツの不妊カウンセラーにインタビューし、不妊夫婦へのグループワークのあり方、出自を知る権利確保のための社会的支援の環境づくりの手がかりを得た。 4.イギリスの真実告知のマニュアルを翻訳冊子として印刷し、日本のDI者、研究者、援助者に配布した。親の子どもへの告知の方法について示したもので、社会的支援のあり方について議論材料とした
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